東京ランポでは、東京・生活者ネットワークと共同で 第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)に対する対案を作成しました。

 意見募集はすでに締切られ、8月28日、第2次東京都地方分権推進計画をまとめたと発表されました。東京都から市区町村に移譲する事務として建築確認事務や開発許可など約1200項目を明記し、補助制度の見直し等を盛り込んでいます。この計画は市区町村と協議のうえ、2001年度以降順次実施するとのことです。

以下が、ホームページにも掲載されていた東京都の意見募集です。

  
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平成12年5月10日                      
第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)    総務局行政部地方分権推進課                             
「第二次東京都地方分権推進計画」(中間のまとめ)について   

都民の皆さんのご意見をお寄せください。                   
             

中間のまとめの公表にあたって

○ 東京都は、地方分権を着実に進めていくための指針として、平成10年7月に「東京都地方分権 推進計画大綱」を策定し、この大綱に基づき、東京都地方分権推進計画を段階的に策定することと しています。
○ 本年4月には、機関委任事務制度の廃止などを内容とする地方分権一括法が施行されました。都 は、この国の法令改正に当面対応しなければならない事項について、「第一次東京都地方分権推進 計画」を策定し(平成11年7月)この計画に基づいた対応を行いました。
○ 地方分権一括法は、機関委任事務制度の廃止や国の関与の縮減等により、地方自治体の自主性・ 自立性を高め、国と地方自治体、都と区市町村の関係を対等・協力の関係へと変えていく契機とな るものです。都は、この地方分権の動きを更に進めるために、「第二次東京都地方分権推進計画」 を策定することとし、この「中間のまとめ」を作成しました。
○ 「第二次東京都地方分権推進計画」(中間のまとめ)は、今回の地方分権改革を受けて、都から 区市町村への一層の分権を進めるために、都と区市町村の役割分担の明確化、都から区市町村への 事務・権限の移譲、都の区市町村への補助制度の在り方などを対象としています。
○ 今後、都民、区市町村等からの意見を広く聴いた上で、平成12年9月を目途に「第二次東京都 地方分権推進計画」として策定したいと考えています。


 
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第二次東京都分権推進計画(中間のまとめ)の問題点と課題

2000年8月28日  東京ランポ


目  次


1.中核市・特例市の課題
2.個別法の権限移譲制度
(1)財源措置について
(2)個別法にもとづく制度自体の問題
(3)提案の考え方の問題
3.条例による事務処理特例制度
(1)事務処理実績のない事務における問題
(2)その他の事務について
4.特別区における今後の課題
5.特定行政庁と保健所設置市について(市の課題)
(1)保健所設置市について
(2)特定行政庁について
6.その他の課題 
法定外公共物について



                       
  第二次計画(以下「中間のまとめ」)は、事務・権限の移譲の手法として定められている(1)中核市・特例市制度、(2)個別法の権限移譲制度、(3)条例による事務処理特例制度、(4)規約による事務の委託制度のうち、次の2つの手法を用いた提案をしている。

   ●個別法の権限移譲制度
   ●条例による事務処理特例制度

 しかしまず、(1)の中核市・特例市制度に対する取り組みについて、現状と課題を提起しておく必要がある。それは昨年度、中核市移行に関る東京都と八王子市との協議が暗礁に乗り上げ、とりあえず凍結状態となっているが、その問題の本質を明らかにしておくことが今回の「中間のまとめ」を考える上でも必要だからである。


1. 中核市・特例市の課題

 

 八王子市の中核市移行は、前述のように凍結されている。では全国的にはどのような状況にあるだろうか。
 なお中核市となるべき市が備えなければならない要件は、次のとおりである。
  (1)人口30万以上
  (2)面積100平方キロメートル以上

 図表1 中核市対象市一覧(計34市)

都道府県 都市 移行年度
(平成)
人口(千人) 面積
(km2)
昼夜間
人口比率
(人口50万未満の市)
北海道 旭川 12 361 748 100.9
秋田 秋田 9 312 460 106.6
福島 郡山 9 327 757 105.3
いわき 11 361 1,231 100.3
埼玉 川越   323 109
栃木 宇都宮 8 435 312 110.2
東京 八王子   503 186 -
神奈川 横須賀   432 101
新潟 新潟 8 495 206 111.0
富山 富山 8 325 209 111.6
石川 金沢 8 454 468 109.9
長野 長野 11 359 404 107.1
岐阜 岐阜 8 407 195 106.6
静岡 静岡 8 474 1,146 108.8
浜松 8 562 257 -
愛知 豊橋 11 353 261 100.3
豊田 10 341 290 104.6
岡崎   323 227
大阪 8 803 137 -
高槻   362 105
兵庫 姫路 8 471 276 105.3
奈良 奈良   359 212
和歌山 和歌山 9 394 209 103.3
岡山 岡山 8 616 513 -
倉敷   423 299 101.0
広島 福山 10 375 364 104.2
香川 高松 11 331 194 113.0
愛媛 松山 12 461 289 104.0
高知 高知 10 322 145 106.2
長崎 長崎 9 439 241 104.4
熊本 熊本 8 650 267 -
大分 大分 9 427 361 104.5
宮崎 宮崎 10 300 287 105.4
鹿児島 鹿児島 8 546 290 -

注1 人口 国勢調査人口(平成7年10月1日現在)
※は要件の見直しにより中核市の対象となる市

  平成 8年度…12市
     9年度…5市
    
10年度…4市
    
11年度…4市 
    
12年度…2市  累計27市

 以上のように、対象となる34市のうちすでに27市が中核市に移行し、残るは7市となっている。なお横須賀市長は、平成12年8月1日に自治省を訪問し、西田自治大臣に対し、中核市指定に係る申出を行っている。今後は、今秋に横須賀市を中核市に指定する旨の政令の公布がなされ、平成13年(2001年)4月の中核市移行が正式に決まる予定である。

 ではなぜ八王子市は移行できなかったのか。昨年の都との協議の時点では地方交付税の不交付団体であったこともあって、財政措置が最大の、というよりも唯一の問題点であった。当時の都と八王子市との財政措置における主張の違いは、数10億円であったといわれている。その主張の食い違いの原因は、美濃部都政以来上乗せ横出ししてきた福祉行政の経費負担であった。保健所設置市となった時に八王子市が財政負担すべきだという都の主張と、引き続き都が財政負担すべきだという市の主張とが平行線をたどり、ある程度は歩み寄ったものの合意には至らなかったのである。

 当時、中核市に移行していた市はすべて交付税交付団体であった。協議時に不交付団体であった八王子市の主張はそれゆえに説得力のあるものだったといえる。しかしその後八王子市は交付団体となった(金額的には数億円という小額ではあるが)。

 けれども今、現市長も議会勢力も中核市移行に意欲をみせてはいない。ただこのままでいいのか、とうことが問題である。これからの東京都から市区町村への事務・権限移譲を考えるときにも、この間の八王子市の中核市移行問題の総括を避けて通れないし、特に保健所設置市の事務・権限の問題は八王子市の課題が解決することなしには一般市の議論にすすむことはできないのではないか。

 特例市は次表のように、対象となる市は59市となっている。都内で対象市となっている町田、府中両市とも移行の意思表示はしていないと思われるが、両市とも多摩部の他市との比較でいえば財政状況は上位の方であるから、市当局や議会の考え方が問われてくるものと考えられる。

 

 図表2 特例市対象市一覧(計59市)

都道府県

都   市

北海道

         函館

青 森

青森 八戸

岩 手

盛岡

山 形

山形

福 島

福島

茨 城

水戸

群 馬

前橋 高崎

埼 玉

川口 浦和 大宮 所沢 春日部 上尾 草加 越谷

千 葉

市川 船橋 松戸 柏 市原

東 京

府中 町田

神奈川

平塚 藤沢 小田原 茅ヶ崎 相模原 厚木 大和

福 井

福井

山 梨

甲府

長 野

松本

静 岡

沼津 清水 富士

愛 知

一宮 春日井

三 重

四日市

滋 賀

大津

大 阪

豊中 吹田 枚方 茨木 八尾 寝屋川 東大阪

兵 庫

尼崎 明石 西宮 加古川 宝塚

広 島

山 口

下関

徳 島

徳島

福 岡

久留米

長 崎

佐世保

沖 縄

那覇

注:特例市は、人口20万以上の市で政令で定める市。
人口は、国勢調査人口(平成7年
10月1日現在)による



2. 個別法の権限移譲制度

 次に第二次分権化計画について、その問題となる課題を探ってみたい。まず「個別法による権限移譲制度」は、その課題として次の諸点が考えられる。

(1) 財源措置(2)個別法にもとづく制度自体の問題(3)提案の考え方の問題

(1) 財源措置について
 個別法の権限移譲制度の場合、財源措置に関しては、2つの課題がある。
 第1は、個別法の権限移譲制度によって移譲された場合の経費である。提案は「区市町村事務として地方交付税制度の基準財政需要額に参入されるので国が措置する」としている。この場合、東京都は不交付団体であること(基準財政需要額に参入されたとしても、依然として不交付団体であれば都区財政調整に反映されない)、市町村では11年度は7市が不交付団体であった。これらの市は、基準需要額に参入されたとしても措置されないところがでてくることである。八王子市の中核市移行に関する協議の問題は前述した。
 第2は、新た施設の設置などの初期投資に関して、必要に応じて「経過措置としての財政支援を行う」と提案していることである。この場合は、経過措置期間が問題になる(この問題も、都と八王子市との協議の課題でもあった)。都は経過措置として5年間を考えているといわれている。
 地方交付税として国から措置されない場合、および都からの支援がなくなった場合は、当然区市町村の負担になる。このことは、今後の都と市区町村との協議の過程で大きな問題になるであろう。

 (2) 個別法にもとづく制度自体の問題
 都における事務処理実績がない事務がいくつか提案されている。
 たとえば、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律にもとづく「建替計画の認定等」の事務は、都における事務処理実績がない。防災再開発促進地区そのものは48地区が設置されているものの23区内のみであり、また特定防災街区整備地区計画は全国で2件程度(うち1件は中野区)しか定められていない。これらの制度はまだ始まったばかり(H6年)であり、今後の特別区の重要な政策課題であるが、多摩部ではせいぜい1〜2地区しか想定されない。つまり区部はともかく、多摩部には事務・権限を移譲してもさほど意味を持たないということである。
 また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律にもとづき、中等教育学校の県費負担教職員の任免及び研修等の移譲が提案されている。しかし現在、都内には区市町村立中等学校(中―高一貫高)は存在しない。存在しないものを移譲の対象として提案するのはかしいのではなかろうか。まずこの中―高一貫高を都としてどう考えていくのか、その考え方を示すことが必要だと考える。
 なお新聞報道によれば(2000/7/29、読売新聞夕刊)、千代田区が2006年度以降に区立の中高一貫高設立に乗り出すという。また同紙によれば、国公立の中高一貫高は現在全国に9校(文部省調べ)あり、また都立大が都立附属校(目黒区)を改編し、2006年度に中校一貫校を開校する計画がある。

 (3) 提案の考え方の問題
 「中間のまとめ」の提案は、(1)特定行政庁となることによる権限移譲、(2)保健所政令市となることによる権限移譲、(3)福祉事務所設置町村となることによる権限移譲のほかに、(4)その他の個別法による権限移譲が提案されている。
 この(4)の考え方にもとづいて提案されている次の3つは、権限移譲とは異なり法律にもとづいてやるか、やらないかの問題ではないかと考えられる。

○ 地方道路公社法にもとづく地方道路公社の設置
○ 地方住宅供給公社法にもとづく地方住宅供給公社の設置
○ 卸売市場法にもとづく中央卸売市場の開設

 たとえば地方道路公社および地方住宅供給公社は、都道府県および政令で指定する人口50万人以上の市であれば設置できる。したがって八王子市は道路公社も住宅供給公社も設置しようと思えば設置できるのである。現に、12政令市以外にも道路公社は堺市と尼崎市が、住宅供給公社は堺市が設置しているのである。また中央卸売市場は、人口20人以上の市で、国が定める中央卸売市場整備計画の対象であれば開設できるのであり、現在51市が開設している。
すなわちこれらは、今都道府県が持っている権限・事務を移譲するというものではない法律によって設置・開設可能な自治体が自らどう考えるかという問題ではなかろうか。
 なお、たとえば道路公社を考えると、道路公社は地方道路公社法にもとづいて「有料道路その他関連道路を建設する」ことを目的とする公社である。現在は東京都道路公社があり、八王子市内で都内では2件目の有料道路を建設中である(ひよどり山有料道路という。なお1件目はすでに交通解放されている稲城大橋有料道路である)。八王子市が今後単独で公社を設立し、次の有料道路を建設することなどは考えられない。住宅供給公社の場合も、東京都住宅供給公社に加えて八王子市が単独で公社を設立することは考えられない。中央卸売市場も同様である。

3. 条例による事務処理特例制度

 この場合には、まず次の2つの見方から考えてみたうえで、財源問題等の課題を考える。

●すでに特別区に移譲済みの事務を含めて、東京都に事務処理実績ない事務があることから、どのような問題が考えられるか。
● その他の事務で、今回提案されているものに問題はないか。

 (1) 事務処理実績のない事務における問題点
 まず次のように、移譲対象の事務の中で、都における事務処理実績がない事務が
あることをどう考えるか、である。
 

 ○特別区に移譲済みの事務であるが市町村部での処理実績がない事務
  ・市街地再開発事業施行のための土地の立入、試掘等の許可等
  ・市街地再開発事業施行における建築等の許可等
 
 ○2000年4月に区に移譲するも都の事務所処理実績のない事務
  ・土地の試掘等
  ・市街地再開発促進区域内における建築の許可等
  ・土地区画整理促進区域内における建築等の許可等
  ・住宅街区整備促進区域内における建築等の許可等
  ・住宅街区整備事業区域内における建築等の許可等

 ○区市町村に移譲対象の事務であるが都の処理実績がない事務
  ・住宅街区整備事業施行の認可等
  ・防災街区整備組合の認可等
  ・市街化調整区域における市民農園建築物の許可
 
 ○市町村移譲対象(区内は都が執行)であるが10年度の実績がない事務
  ・基盤設計計画が適当である旨の認定

 
 最も分かりやすいのは、2000年4月に特別区に委譲した事務で事務処理実績がない事務である。なぜ事務処理実績がないのか、どのような問題があるのかということを検討する必要がある。
 この点については本来、都が特別区に移譲する前に検討し、もはや必要とされない事務であれば廃止すべきであった。そうしていれば、いたずらに移譲件数を増やすことはなかったはずである。移譲された市区町村にとって、処理実績のない事務を条例化し、事務経費をかけて対応できるようにする必然性がないので、こうした事務は放置され、有名無実化していくと思われる。
 都は今からでも、処理実績のない事務を再検討し、廃止すべきものは廃止すべきであると考える。

 (2) その他の事務について
 この課題は、すでに特別区に移譲されている事務と今回新たに提案されている事務に分けて考えることが適当である。
  
  ア)特別区に移譲済みの事務でどのような問題が生じているか
  イ)新たに提案された事務にどのような問題があるか
 
  特にすでに移譲済みの事務について、特別区の中で検証することが必要である。その検証に中から、新たに提案されている事務についても問題点が浮かび上がってくると考えられる。

  (3) 財源問題について
 条例による事務処理特例制度にもとづいて移譲する場合は、「都は、区市町村に特別区事務処理交付金や東京都公害防止条例に係る市への交付金などによって財源措置を行う」としている。
 ここでも問題は、それが十分か否かということである。この問題も、特別区にすでに移譲済みの事務について問題が生じているかどうか、ということを検討する必要がある。それは移譲された事務を交付金等によって執行可能かどうかということでもある。



4. 特別区における今後の課題

 これまで述べてきた課題以外で、特別区における今後の課題について簡単にふれておきたい。それは都区制度改革を今後どのように考えるか、ということである。清掃事務の区移管によって長年の懸案を解決はしたものの、最終的な解決ではなく、引き続き改革を行っていかなければならない課題であるからである。
 東京都と特別区の行財政制度は今回の改革によっても、東京都が特別区の区域において市町村としての事務(大都市事務という)の一部を分担していることに変わりはない。都が特別区の区域で行っている大都市事務には次のようなものがある。

(1) 法令の定めにより、都が行っている事務
(例)消防、一般廃棄物の最終処分(収集運搬は区に移管、中間処理は一部事務組合で処理)、上・下水道等
 
(2) 法令の定めはないが、府県事務よりも大都市事務としての性格が強く、一般的には市が一部または全部を行っているもので、これまで都のみが行ってきた事務等
(例)公営都市交通、公設市場・と場、公立病院、公営住宅(法改正により50年度から区も設置、管理できるようになったが実績は少ない)等

 このように大都市事務を都が行うことを背景にして、特別区の区域における市町村税は都と特別区とで分担して課税・徴収している。

区分 東京都 特別区
普通税
市町村民税(法人分)

固定資産税

特別土地保有税

法定外普通税(商品切手発行税)

市町村民税(個人分)

軽自動車税

市町村たばこ税

鉱産税

目的税
入場税

事業所税

都市計画税

 そして都が徴収する普通税のうち、市町村民税(法人分)と固定資産税、特別土地保有税を調整三税として都区財政調整を行っている。今回、その調整率は清掃事務等の区移管によって改正されたものの、区側の方に不満が残ったものとなった。
 
 今後の課題としては、次の諸点がある。
(1) 都が引き続き行う大都市事務のうち、今後区移管を検討すべきものはないか。
(2) 都区財政調整のうち、都と特別区との割合は妥当であるか。
(3) 都区財政調整のうち、23特別区のいわゆる水平調整に都が関与することは妥当か。
(4) (1)および(2)との関連で、都が市町村税の一部を徴収する現行制度を今後とも維持すべきかどうか。
 
 現在、都側にも区側にも都区制度改革の継続に意欲は感じられないが、現行の23区制の改革も含めて、区側から問題提起をしていくべきではないだろうか。今後、市町村合併がどのように推移するか分からないが、中核市や特例市など、特別区よりも事務権限の大きい市が増えていく中で、特別区の事務権限がそうした市よりも小さくてよいのだろうか。少なくとも、そのような問題意識を特別区や特別区の区民は持つべきだと考える。



5.特定行政庁と保健所設置市について(市の課題)

 次に市の課題を、特定行政庁と保健所設置市の課題に即して考えてみる。

(1) 保健所設置市について
 保健所設置市は、「法令で定めるところにより、市が保健所を設置できる」制度である。保健所設置市になれば、すでに移譲されている母子保健事業や法改正によって14年度に移譲されることになっている精神障害者に関する事務の一部に加えて、「総合的な保健施策」や「地域の実情に即した食品・環境衛生等の施策」が推進できることは疑いない。
 問題は、やはり財政措置である。これは八王子市の中核市移行問題のところで述べたことで繰り返さない。問題は、八王子市の移行問題が決着しない限り、他市は保健所設置市移行に意思表示をしないのではないかとということである。「総合的な保健施策」を少なくとも現在都が行っている水準を維持しながら、地域の実情に即した展開を図っていくためには、財源問題が最大の課題になることを強調しておかなければならない。

(2) 特定行政庁について
 特定行政庁(建築主事設置市区)は、東京都との「同意を要する協議」により、建築確認や違反建築の是正指導等の事務・権限が移譲される。すでに八王子市、町田市(政令で指定する人口25万人以上の市で必置)、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、日野市(知事との同意を要する業による任意設置)の7市が特定行政庁となり、建築主事が置かれている。
 その他の20市も、積極的に特定行政庁となるべきであろう。今、バブル崩壊以降の地価下落もあって、主要駅周辺の高層マンションの建築ラッシュが起こっている。市のまちづくりの方針を貫くためには、建築主事が市の中に置かれていることが望ましいことは言うまでもない。国立市のマンション紛争のような事態を未然に防止するための1つの手段は、この建築主事の設置である。
 この課題は、すでに7市が設置済みであるように、財政問題は大きな問題とはならない(もちろん、組織や人員増を伴うが)。市当局や市民の意思、意欲の問題にかかっていると思われる。
 




6. その他の課題

 最後に、今回の「中間のまとめ」と関連する課題ではないが、地方分権の課題の1つとして「法定外公共物」の財産移譲等の問題に触れておきたい。
 法定外公共物とは、道路法や河川法等の法律によって管理されていない公共物、つまり里道(赤道)や水路・用水などのことである。これらは5年以内に国の財産から、市区町村の財産に移譲される。また従来は機関委任事務であった準用河川が市区町村の自治事務となった。

(1)一級河川 国土保全上特に重要な水系で、建設大臣が指定したもの。
(2)二級河川 一級河川以外の水系で、公共の利害に重要な関係がある河川で、都道府県知事が指定したもの。
(3) 準用河川 一級河川、二級河川以外の河川で市町村長が指定したもの。
(4) 上記以外で河川法、下水道法などが適用されない河川、水路。

 

 この分権を受けて、今年の3月議会までに条例を整備した市区町村は少ない。準用河川が自治事務になったことを受けて条例を整備したのは日野市くらいではなかろうか(日野市準用河川管理条例。なお日野市は用水・水路についてもすでに普通河川等管理条例を制定し、用水・水路を全面的に管理している)。
 里道や用水・水路について、条例を整備・検討している市区もまだ少数である。今後早急に条例を制定し、里道や用水・水路をまちづくりにどのように活用していくのか、その条件を整備していくことが必要である。

     以上

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