カレッジランポ2005(2005年12月10日開催)
市民参加条例の効き目を検証する
3.報告事例に対する質疑応答
事例報告の内容を確認するための質問は、休憩時間中に、会場の参加者より付箋に書き出してもらい、前方の黒板に貼った模造紙に、質問したい報告事例ごとに貼り出してもらった。報告者には、自分に対する質問、全体に対する質問に答えてもらった。
◆宮代町に対する質疑応答
問 審議会に参加した市民サイドの評価をどうやって聞いているのか。
伊東 4つの審議会について詳細に評価する「全体的な評価及び検証」の過程で、公募委員にはアンケート調査を行っており、会議の時間は十分であったかなど4項目くらいを聞いている。市民参加推進・評価委員会が評価するにあたって、担当課にヒアリングする際、アンケート調査の結果をもとにヒアリング項目を決めたりする。
問 一時保育はどの程度使われているのか。
伊東 制度として設けてはあるが、残念ながら、いまのところ利用者はゼロである。
問 条例の見直し規定はあるのか。
伊東 条文上は、見直さなければならないという規定はないが、現に、条例や施行規則における問題点は出てきている。例えば、推進・評価委員会の委員が、評価される立場の他の審議会の委員を兼任できるかという問題が出ている。それを施行規則に盛り込むかを検討しているところである。
問 審議会等の夕方や土日の開催をどのように考えているか。
伊東 条例第16条で、審議会の運営のルールは、審議会固有に設定できるようになっている。委員が参加できる日時を自分たちで決めるため、土日の開催になることもある。職員は、土日出勤の場合は他の日を休みにする、夜の場合はフレックスにするなどして、超過勤務にならないようにしている。すべての審議会については、完全には把握していない。
◆狛江市に対する質疑応答
問 市民、特にNPOからの協働の提案、申し入れがあった場合、どのように対応しているのか。
金築 まず各課に提案が来る場合が多いが、各課から市民協働課に相談があり、共催がよいか委託契約がよいかなどの話をする。条例で参入の機会提供に基づく登録制を定めており、狛江市に役員が在住しているか、会則を持っているかなどを見て、法人格を持たない団体でも登録できるようにしているため、委託契約を結べるようになっている。
問 審議会の答申と違うことを市が決めた場合のフォローをどうするのか。状況によっては答申通りにはならないことを、あらかじめ市民に公表しておくことが必要ではないか。
金築 どうしても答申を活かせず、行政で反映できない、議決で否決される場合がある。審議会は答申を出すと解散してしまうので、元委員にどう伝えるかというのは課題であり、市民参加と市民協働に関する審議会でも検討した。情報提供は一番根本的なところであるので、どうなったかを元委員にお知らせする、広報で市民にも公表するようにとの意見が出ている。
問 傍聴者の人数はどうなっているか。
金築 市民参加と市民協働に関する審議会では、毎回4〜6名がいらっしゃる。他の審議会の場合、あまり開催のないものは少ないが、年度内に計画づくりしなくてはならないものなどは、4名以上はいらしていると聞いている
問 新税の創設についても、パブリックコメント等の対象にすべきでは、との議論は出なかったか。
金築 金銭事項については、第5条第2項で、市民参加を行わないことが「できる」としてある。現在、公共施設の手数料の有料化について検討中であるが、説明会を行った際、市民参加が必要ではないか、市民参加を「必ず行う」という規定にしてはどうかとの意見が出ている。しかし、金銭事項は、地方自治法第74条の直接請求権から除外されているため、市民参加を「必ず行う」との規定はできないというのが、市民参加と市民協働に関する審議会の検討結果である。
◆和光市に対する質疑応答
問 市民参加の手法のどれを使うかについて、規則などで定めてあるのか。
加藤 規定はどこにもない。あくまで、1以上の手法を用いる、より多くの市民の意見を求める必要があるものは複数の手法を用いる、という条例の規定以外にはない。ただ、実際には、1つの案件について多種多様な手法を行っている。
問 市民政策提案の実例があれば、ご紹介いただきたい。
加藤 市民政策提案手続は10人以上で市の機関に提案できる制度であるが、つい先日、初めて提案されてきた方がいた。現在、その提案が対象要件に合致しているかを、判定しているところである。
問 住民投票の請求に対し、市長が反対意見をつけ、議会が否決した理由は何か。
加藤 市長の意見の要旨、議会の賛成意見・反対意見の要旨とも、配付資料にあるので、ご覧いただきたい。
問 パブリック・コメントへの応募件数が少ないようであるが、市民への情報提供が適切でないのか、それとも市民に関心がないのか。
加藤 まだパブリック・コメント自体が浸透していないことがあると考えられる。また、対象となる案によってはボリュームが大きい場合があるので、広報紙では、パブリック・コメントを行っていること、ホームページや公共施設で案を入手できることを、案内するだけになってしまうということも一因と考えられる。
問 公募枠の割合を規定しているか。
加藤 委員の選任の規定は、審議会等ごとに条例や要綱などで決めており、そのなかで公募委員は何人以内などと決めていたり、特に規定を設けなくても公募したりする例もある。
問 公募委員の報酬を無報酬としているものはあるか。
加藤 地方自治法に基づく附属機関と任意設置の懇談会などを総称して審議会等としているが、附属機関は報酬を出しているが、任意設置の懇談会などでは無報酬のものもある。
問 新税を定める条例への市民参加については。
加藤 狛江市同様、対象としないことが「できる」規定になっている。ただ、いまのところ問題視されたことはない。
問 審議会の傍聴者の人数はどうか。
加藤 市民に直接密接に関係するもの、例えば、市立学校の通学区域の変更調査会では、かなりの傍聴者があった。逆に、そうでないものはあまりいないのが実態である。
◆全体に対する質疑応答
問 なぜ「住民参加条例」でなく「市民参加条例」なのか。特に宮代町は「町」なのに、なぜ「市民参加条例」なのか。
伊東 条例では、在勤・在学者も含めて市民としてある。名称を町民参加条例とすると、参加できるのが在住者のみと思われる。
問 市民参加によって、職員の仕事量は増えていくものなのか。人員や予算は増えるのか。もし可能なら、市民参加に関わる予算はどれくらいなのか教えてほしい。
答(挙手) 人員が増加している自治体は? ゼロ
予算が増えている自治体は? 狛江市
仕事が増えている自治体は? 3つとも
加藤 職員からは、審議会等の会議録の作成に時間をとられ、負担が大きいとの意見が出ている。
金築 各課が行っている市民参加・市民協働の手続きに抜かりがないかについて、常に目を光らせることが、一番気を遣う。
伊東 例えば、条例をつくる場合、議会審議の期間、さらにパブリックコメントの期間など、時間的なことを考えなくてはならない。
問 職員の意識改革についてどのように取り組んでいるのか。
金築 新年度になったとき、各課にヒアリングを行って、チェックや注意を行っている。また、新人には、部課長級からの職員研修を最低年1回行っている。講演会を交えた、フォーラムも行っている。
問 市民参加が進むことでどんな状態になることを目指しているのか。
伊東 現在、評価を行っているような、審議会に参加しやすい、発言しやすいといった状態になるとよい。審議会は合議体なので、個々人の意見が反映される・されないといったレベルではなく、発言しやすい環境になっていくかということが大切である。また、いかに新しい人が入ってこられるかが、この条例の目指すところかなと思っている。
金築 条例をつくるとき、最終的に目指すところとして出たのは、この条例がなくなるということであった。市民参加の手続きを職員が当たり前のこととしてやっていけば、条例はいらなくなる。また、市民参加が当たり前になり、仕事になれていけば、職員も楽になっていくのではないかと思う。
加藤 条例は最低限のルールであって、市が当たり前のように市民参加を行うようになれば、あえて条例で規定する必要はなく、いまは過渡期として条例で規定するが、市民参加が当たり前になって、条例がなくなるのが理想だというのが、まちづくり市民会議でも出ていた。
問 行政参加だけではなく、議会参加の必要性についての議論は出なかったのか。
答(3人とも) なかった。
問 市民参加に対する議会の反対とその対応について、具体例があれば教えてほしい。
金築 最初の条例案が否決された後、議会が特別委員会をつくり、市民参加はどうあるべきかの報告書をまとめた。現在の条例のときは、報告書の趣旨を反映することに心をくだいた。議会の理解が得られるように、中間報告や答申の段階で、常に進捗状況を議会に報告するようにした。
問 陳情・請願と市民政策提案とはどう違うのか。
加藤 大きな違いは、陳情・請願は議会に対して行うものであり、市民政策提案は執行機関に対して行うものである。これまで市民政策提案が出されなかったのは、市長への提言箱や電子メールでの意見の提出など、手軽な方法が活用されていたからであるかもしれない。また、請願は議員の紹介が必要だが、陳情は議員の紹介が必要でなく、簡単にできる。例えば、この12月議会で助役を置かない条例案の陳情、議員定数の削減を求める陳情が出されており、陳情・請願が、提案の方法として活用されてきた面はあると考える。
問 一部事務組合に対するコントロールとして市民参加条例は機能し得るのか。
加藤 条例では、市の機関の仕事に一部事務組合は含まれておらず、対象外となってしまう。
問 いきなり公募するのではなく、まず勉強会をやったうえで公募すべきではないか。
金築 現在悩んでいるところで、市民参加と市民協働に関する審議会でも意見が出た。公募する審議会が勉強会を実施した方がいいのではとの意見もあったが、審議会は諮問に対するものなので、公民館講座や学び講座でやっていくべきではとの意見が出ている。
問 公募委員は最後まで参加してくれるものなのか。
伊東 今年4月から設置した、公募52名、職員18名の会議では、2名程度リタイアした。毎週会議をやっていたので、疲れたのかもしれない。推進・評価委員会の委員は、他の審議会の委員は兼任できないことに決めているため、他の審議会に参加するために辞めた人はいる。
金築 市民参加と市民協働に関する審議会では、1名来なくなった。実際に参加してみて審議会が思っていたものと違う、自分の意見が受け入れられないとわかったときに、やる気がなくなったようである。公募委員を対象とするアンケートを行うことで、そういったことがわかったので、これから条例をつくるところは、最初からアンケートをとるとよい。
問 他の審議会委員が傍聴に来ることはあるのか。
加藤 現在は、市民参加の実態が少なく、市政に非常に関心のある人がよく来られているので、公募委員への応募者も審議会等の傍聴者も同じような顔ぶれというのが実情である。議員が、説明会やパブリック・コメントで意見を述べる、傍聴に来られることもある。
問 条例をつくる際に、地方自治法と条例の関係を勉強する機会がないのはなぜか。
金築 地方自治法を一から学ぶ勉強会の時間はとりづらいのが実際である。条例策定の際には、ところどころで自治法の専門家を招いて、手数料・使用料、直接請求権の話など、説明してもらうことで対応した。
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(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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