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市民参加・協働のまちづくり 市民公募委員制度調査2000 ヒアリング結果概要 調査対象 アンケート調査をもとに選定した16会議と1自治体の公募委員と担当職員
調査方法 ◆対面によるストラクチャード・インタビュー(質問項目を予め準備してある)。 所要時間は1ヒアリング1〜2時間。 調査票を事前送付。 ◆基本は、個別インタビュー。 例外として、下記の4ヒアリングはグループインタビュー。 ・大田区委員2名 ・日野市委員7名 ・志木市委員1名と職員1名 ・市川市委員2名(女性委員2名) ◆回答者数は自治体の意向に合わせたためまちまち。 公募委員の回答者は自治体側で選らんでもらう。 行政職員→公募委員の順に実施。 調査時期 平成12(2000)年10月27日〜平成13(2001)年1月31日 結果概要 ヒアリング調査で得られた、現場での体験談や公募委員の活用に対する意見をもとに、公募委員と行政職員のそれぞれが、公募委員の採用を成功させるためにやりたいこと、気をつけなくてはならないことをまとめてみた。 最初に確認しておきたいのは、公募委員を採用する場合、会議の目的や公募委員の役割、実施方法などについて、必ずこうでなくてはならないというものは、いまのところないということである。つまり、会議にせよ公募委員にせよ、そのあり方は多様であってよいというのが前提である。 この前提のもとで公募委員を採用する場合、行政にとって大切なのは、会議の目的や公募委員の役割、実施方法などが互いに矛盾しない体系をなすことである。まずは、体系の大原則となる「会議の目的・役割」をどうするのか、しっかりと決める。そして、その大原則を達成するためには、「委員構成」「公募委員の役割」はどうあるべきか、「実施方法」はどうするのが最適かを考えながら、会議と公募委員のあり方を決めていくのである。
まず、大原則となる『会議の目的・役割』であるが、ヒアリング調査からは「検討型」「素案作成型」「市民提言型」の3つの類型が見られた。「検討型」が、ある程度行政内で固めたものに行政外の立場から意見をもらうスタイルであるのに対し、「素案作成型」「市民提言型」は、市民ニーズを出発点として計画づくりなどを行うスタイルである。当然、後者の2類型の方が、市民の関与する度合いが大きい。 それぞれの『会議の目的・役割』には、それを達成するのにふさわしい『委員構成』がある。委員総数に占める公募委員割合の少ない「少数型」「バランス型」といった委員構成は、様々な種別の委員が各々の立場から発言する「検討型」の会議に向いている。一方、公募委員割合の多い「半数型」や全員が公募委員である「全員型」「大量参加型」といった委員構成は、市民ニーズを出発点とする「素案作成型」「市民提言型」の会議に適している。 『委員構成』がどうであるかで、『公募委員の役割』も変わってくる。学識経験者や各種団体代表とともに委員を務める場合、それら他の委員に期待できない「地域情報の提供」が公募委員に期待されよう。これは、従来は町内会・自治会等の住民団体代表が担っていた役割であるが、自治会等の活動に参加しない市民が増えてきたため、市民から直接地域情報を集めることになったと考えられる。一方、テーマに関する専門性は、基本的な専門用語の解説を受けずに議論に加われる程度であればよいだろう。学識経験者や専門団体代表がいるわけであるし、逆に多少の専門性があっても、机上の知識やマスコミの請け売りでしかないなら、公募された市民委員としての役割を果たすことにはならないだろう。 また、審議をする以外に、委員が文書作成や諸連絡、広報といった運営上の仕事を担う「自主運営」のケースでは、テーマに関する専門性にとどまらない、会議運営に役立つ多様な専門性も期待される。公募も含め、委員が増えれば事務局の負担も増し、委員自身が運営を担う必要が出てくる。もちろん、自主運営が成り立つには、委員(市民)の側にも相応の力が必要であるし、力をつけるには日頃から市民参加の場が多く提供される必要がある。また、会議と行政の関係も、対等であることが保障され、信頼と緊張に支えられたものでなくてはならない。両者が情報を共有し、共通認識を持って進めることも重要である。 次に、公募委員の採用と会議の運営を成功させるための『実施方法』を考えたい。第1に『募集方法』であるが、「公募」である以上、開かれた応募要件の確保が重要である。また、募集していることが広く伝わらなくては意味がないので、市民の様々な層をカバーする多様な募集手段を持つ必要がある。また、日頃から様々な市民参加機会を設けるなど、呼びかけに応じる市民が育つような下地づくりも求められる。 第2に『選考方法』であるが、選考基準の事前公開や選考過程の公開など、透明性の確保が原則である。確かに公募委員は、選挙で市民の信託を受ける議員のような市民代表ではないので、行政の必要にあった市民を採用すればよいとも言える。しかし、委員の全てを行政の裁量で決めてしまわないということでは、会議の意思決定を透明化しているのであり、本当に透明性が確保されるには、選考方法も透明である必要がある。また、他の市民の利害に関わる意思決定のプロセスに関与することを考えても必要である。 第3に、会議が始まってからの『運営方法』でも留意点がある。まず、広く市民に開かれた機会にするために、開催時間帯は多くの市民が参加しやすいように設定する必要がある。また、前述の選考方法の透明化と同様、傍聴を認め、議事録を公開することは、会議の意思決定を透明化することになる。但し、委員の自由な発言を保障するために、傍聴者にはマナーを遵守してもらう必要がある。 こういった会議の優れている点は、継続的に審議できることである。従って、公募委員に比べて参加動機が弱い他の種別の委員には、会議への出席を優先できる人を選任すべきである。また、報酬をどうするかは難しい問題である。持っている能力や情報を提供してもらうためには、ある程度の金銭的な対価も必要だろう。一方で、1回単位で支払われる報酬があるために、もっと多く開催したいと思ってもできないという面もある。 会議運営を成功させるポイントとしては、会議の役割、目的を確認して、委員への理解を徹底したり、運営ルールを明確にして、文書にしておいたりする作業を、スタート時点できちんと行うことが重要である。また、委員の誰もが発言しやすく、議論が会議の成果に結びついていくためには、会議進行の技術も大切である。必要があれば、第三者にファシリテーターを依頼することも考えてよい。 会議が生産的なものになるためには、委員同士、委員と職員に信頼関係が構築される必要がある。公式の会議以外に、非公式の交流会や勉強会を行い、互いの人柄やバックグラウンドを知る機会を作ることが有効である。また、委員同士の話がかみ合い、委員が会議の求めるレベルで議論するには、情報の共有や迅速な情報提供、基礎的な知識の共通化や行政の仕組みの理解なども必要になってくる。以上のポイントは、序章で述べた「コミュニケーション的合理性」の前提となる、「理想的発話状態」を実現するものと言えよう。 公募委員の採用という手法の特徴と限界も知っておく必要がある。自ら手を挙げない限り参加できないという意味では、積極性は期待できる。逆に言えば、積極的な人しか採用できないことにもなり、社会全体の縮図にはならないということである。また、時間をかけて深く話し合えることはメリットだが、それゆえ参加できる人が限られてしまう面もある。市民の一部が決めたことと言われないためにも、アンケートや希望者全員が参加できるワークショップ、インターネットなど、広く市民意見を集める手法の併用が望まれる。 公募委員の今後の展望であるが、公募委員の採用はますます一般化し、単に公募委員を採用すればよいだけでなく、いかに公募委員が活躍できるようにするかが問われることになろう。また、現在は担当課レベルで判断して実施することが多いが、自治体全体のポリシーの中に位置づけられ、公募委員の地位や選考方法について条例や要綱で規定されることも増えてくるだろう。 公募委員の体験は、それまで行政サービスの受益者でしかなかった市民が、自分に何ができるのか、何をしなくてはならないのかに気づき、自覚することによって自治体行政の担い手へと脱皮していく機会である。会議解散後も、自主的な活動をしたり、自治体行政のために働いたりする共同体(=自治体)の人的資源として、人材バンク的に蓄積されていくことになる。 公募委員の採用において留意が必要なのは、いつも応募する人が同じであるというような、人材の固定化を防止しなくてはならないということである。住民団体代表が市民意見を代表できなくなったことが、公募委員を採用するきっかけであったので、常に新しい市民が応募するようにする必要がある。今回ヒアリングした公募委員のうち、市民参加や市民活動の初心者の動機からは、明確に「どうしたい」ということがあるというより、「何かしたい」という気持ちで参加したことがわかる。そういった、少しのきっかけさえあれば地域のために働きたいと思っている、潜在的な公募委員候補は意外に多いのかもしれない。そのような市民が参加しやすいよう、効果的な募集方法の実施や開催時間帯の配慮、日常的な学習会や参加機会を作るといったことが必要であろう。一方で、興味や問題意識を感じていても行動できずにいる市民にも、応募へと一歩踏み出す勇気が求められる。 (『市民参加の新しい扉を開く−市民公募委員制度の実態調査と提案−』に収録) |
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