市民参加・協働のまちづくり
| 「元気な入間」で中間支援組織を体験するワークショップ開催 |
2004/5/10
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・2004年5月9日(日)午後2〜4時、「元気な入間」まちづくり推進市民組織準備会設置に係わるワークショップが、今年3月30日にオープンしたばかりの入間市市民活動センターの3階活動室1で開催された。
筆者は、この日のメインプログラムであった、「中間支援組織設立シミュレーションゲーム」の進行役を務めた。
・入間市(埼玉県)は、2001年に市制施行35周年を迎えたことを契機に、「元気な入間」都市宣言を行い、市民が主役のまちづくりをめざしてきた。都市宣言を踏まえた条例を制定するために、2002年から2003年にかけて、市民14名が白紙から条例案を検討する「元気な入間まちづくり条例検討会議」が設置され、条例素案づくりが取り組まれた。パブリックコメントなどを経て修正した条例素案は、2003年12月に市長に提言され、3月議会で条例案が可決、2004年4月から「元気な入間まちづくり基本条例」が施行されている。
・その条例のなかに、「元気な入間の推進体制」として、「市は、元気な入間の実現のため、市民の参加と活動を推進するための拠点を整備します(第8条1)」、「市民と市は、共に元気な入間の実現のために推進組織を設置し、その維持、継続および発展に努めます(第8条2)」とある。この日の会場となった「入間市市民活動センター」の開設や、この日のテーマとなった「元気な入間」まちづくり推進市民組織の設置は、この条文に基づくものである。
・但し、「推進市民組織」に関しては、いきなり設置してしまおうというものではなく、条文に「市民と市は、共に〜推進組織を設置し」とあるように、まずは準備会を立ち上げて、推進市民組織がどのような役割を担っていくのかから含めて検討していこうというものである。
準備会メンバーは、条例検討会議ほかの委員経験者と職員、および公募市民の15名からなる。この日のワークショップは、準備会を設置するにあたり、また公募に応じる市民にとっては応募するにあたり、推進市民会議の基本的性格である「中間支援組織」とはどのようなものなのかを理解してもらうために、開催されたものである。
東京ランポでは、2000年に行った公募委員制度調査で、公募に応じる市民に会議の目的などを伝えることを提案している。その意味で、このように応募を受け付ける前の段階で、会議の目的を伝え、対象テーマについて理解を深めてもらう機会を設けることは、大変よい。実際、担当職員の中澤岳さんのお話では、以前別の会議に公募で入った人が、会議の目的を誤解していたため、すぐに来なくなってしまったという経験があったのだという。
・さて、この日は、推進市民会議が担う役割を知ってもらうため、中間支援組織ができる前とできた後のまちの様子を擬似体験してもらう、「中間支援組織設立シミュレーションゲーム」を行った。このゲームは、新潟県北の岩船地域で中間支援組織として活躍している「NPO法人都岐沙羅パートナーズセンター」が、新潟県NPOサポートセンターと共同で開発したものである。今回は、開発者の許可を得て、使用させていただいた。
NPO法人都岐沙羅パートナーズセンターホームページ
・このゲームは、大変シンプルである。まず、仮想のまちを構成するプレーヤーに分かれてもらう。この日は、市民が4種(高齢者、サラリーマン、主婦、学生)、市民団体が4種(リサイクル・緑の保全、高齢者福祉、まちの活性化、子育て支援)、企業が4種(地元銀行、地元商店、スーパー、IT企業)のほか、行政と町内会の合計14種類のプレーヤーを設定した。参加者が18名であったため、市民団体のうち3つと行政は2人ずつで担当してもらった。
プレーヤーが決まると次は、「属性カード」にプレーヤーの活動内容や特徴、困っていることなどを、各プレーヤーが自分で書き込む。そのうえで、ここからがゲームの中心作業であるが、他のプレーヤーにお願いしたいこと(例えば、事業助成金をください、掲示板を使わせてください…)を「要望カード」に書き込んで、お願い先のプレーヤーに渡す。もちろん、「要望」は、「属性」に基づいて行われることになる。
受け取った「要望」に対しては、できる(○)・できない(×)を判定し、理由をつけてお願い元のプレーヤーに返すことになる。
このような流れを、中間支援組織ができる前とできた後の2ラウンド行い、前後でどのような変化があったかを比較して、中間支援組織の役割を知るのがこのゲームのねらいである。なお、中間支援組織は、全てのプレーヤーの「属性カード」を入手できるものとされている。また、今回は、中間支援組織は、市民団体のうち人手に余裕のある3団体から1人ずつを出して結成されることにした。
・今回の結果であるが、この仮想のまちには、行政をはじめとして「大盤振舞」なプレーヤーが多かったのか、はたまた控えめな要望が多かったのか、1ラウンド目で、かなりの要望(39の要望中30)が○となった。その意味では、中間支援組織が仲介することで要望が適切な行き先を見つけるといったねらいは、多少薄れた。
ただ一方で、1ラウンド目には、最多の8つの要望が行政に向かったのだが、2ラウンド目では、(1ラウンド目で○となった要望を除いた)9つの要望中、行政には2つの要望しか向かわず、5つが中間支援組織に向かった。中間支援組織には、要望を適切な行き先にマッチングさせる役割が期待されているという点は、ゲームを通して確認できた。
面白かったのは、1ラウンド目で、6つの要望が町内会に向かったことである。町内会は、オリジナルにはなかったものを、筆者の考えで追加したのだが、NHKの『ご近所の底力』が好評を博す時代を反映しているのか、はたまた自治会活動が強固と言われる入間市の実情を反映しているのか、いずれにせよ地域住民組織への期待が大きく表れたのは、面白い結果であった。
・このワークショップを経て立ち上がる準備会の目的は、推進市民会議をどのようなものにするか検討することである。その意味で、このゲームで中間支援組織に期待される一般的なイメージを持ったうえで、実際の具体的な姿はこれから検討していくことになる。
このゲームで想定されている中間支援組織は、かなり理想的なものである。例えば、中間支援組織が設立されたことを、まちのみんなが知っている。また、中間支援組織は、まちにどのような人材やニーズがあるのかを知っている。しかし、このようなことは普通あり得ない。そのため、参加した皆さんからは、推進市民組織を市民に知ってもらうにはどうするか、推進市民組織が自らまちに出て行って人材やニーズを掘り起こすような活動も必要だ、といった感想が聞かれた。そのような、準備会で検討すべき具体的なテーマを抱いていただけたことで、筆者も最低限の責任は果たせたと言えよう。
・今回行った、「中間支援組織設立シミュレーションゲーム」は、まだ開発途上にある。開発者へのフィードバックを兼ねて、後ほど参加者と話すなかで出てきた改善点を記載しておく。
まず、「属性カード」は、参加者自身に書いてもらうのではなく、予め決めておいた方がよいのではないだろうか。参加者自身が決められるようにすると、今回のように、参加者自身が「こうだったらいいな」と思う姿でプレーしてしまい、行政が「大盤振舞」するといったことが起こり、結果として1ラウンド目からの○が続出してしまう。今回は、企業だけは「属性」を予め決めておいたのだが、企業を担当した人は、比較的「属性」に従って行動してくれたように思う。
また、どんなゲームにも付きものだが、参加者がゲームのなかで与えられた「属性」に従って行動するのでなく、現実の自治体の情報に基づいて行動してしまうということがあり、ゲームと割り切って参加してもらう工夫が必要だろう。「属性」の情報を、短い時間でも頭に入るように、端的にわかりやすく与えることなどが考えられる。
あと、これは筆者が失敗した点だが、要望を受けたプレーヤーに判定結果を発表してもらうときに、参加者にプレーヤーになりきってもらうことを言い忘れた。そのため、「属性カードにはこんなふうに書いてあるので、この要望は受け付けられません」というような、ちょっと味気ない発表になってしまった。何人かの「演技派」の人が、「私たちは、親父だけでつくった子育て支援団体なんですが…」というように、自ら1人称でそれらしく発表してくれたのには、助けられた。「それらしい衣装があると、もっとなりきれるかも」と冗談めかした感想もあったが、それくらいやった方が、さらに盛り上がるのは確かだろう。
・ワークショップの後、参加者の何人かの方と懇親の場を持ったのだが、皆さん、都市宣言や条例検討会議のあたりから、継続的に「元気な入間」のまちづくりを担ってきた方ばかりであった。そのせいか、懇親の場で名刺交換するまで、どの人が職員でどの人が市民なのか、全く判別がつかなかった(職員だと思っていた人が、みんな市民だったことを知ってびっくり)。
調査研究や筆者個人の体験から言えることだが、例えば、審議会等の委員として自治体の仕事に関わるようなことがあっても、答申をして任期が切れてしまうと、意外と担当職員との関係が疎遠になったりする。それは、職員と特定の市民のパイプが固定化することの弊害を恐れての、職員側の節度なのかもしれないが、まちづくりが人と人のつながりを基本としている以上、一度できたつながりをさらに発展させることを考えないのは、協働時代の行政職員の行動規範としては、ちょっと物足りない気がする。
その点で、どなたかが冗談めかしておっしゃっていた「一度まちづくりに足を突っ込んだが最後、ずっと関わり続けています」というような「物好きな」(もちろん、いい意味での)市民に、やりたいだけやってもらうという入間流の市民と市のつきあい方は、ちょっと衝撃的であった。市民の皆さんが、市民運営の文化施設の話や、祭りの話や合併の話を、まるで自分が市政を担っているような顔で語るのは、とても面白かった。いや、「まるで」と言っては失礼。実際、汗を流す人がそれ相応に「我が物顔」(これも、いい意味での)ができるのが、「元気な入間」のまちづくりなのかもしれないと、興味をそそられた1日であった。
入間市ホームページ 元気な入間TOPページ
※ 「『元気な入間』まちづくり推進市民組織準備会が事業開始」、「『元気な入間』が推進市民組織の立ち上げへ 準備会が終了」もご覧ください。
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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