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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
大和市自治基本条例案が市議会総務委で修正可決
2004/9/22


●2004年9月15日(水)、大和市議会総務常任委員会において、市長提案による大和市自治基本条例案が修正可決された。審議は、午後4時45分から約4時間にわたって行われた。
 以前のニュース(3月22日5月1日)でも紹介したように、大和市自治基本条例案は、公募市民26名を中心とした32名の委員からなる「大和市自治基本条例をつくる会」(以下、つくる会)が、1年半にわたる審議や市民各方面との徹底した意見交換(パブリック・インボルブメント)といった、前例にないほどの労力をかけて作成した「条例素案」をもとにしている。「条例素案」を最大限尊重した内容で、今回の「条例案」もつくられている。
 このニュースは、つくる会会長の太田善夫さんよりご提供いただいた、朝日・読売・神奈川の3紙の9月17日(金)の記事と、大和市ホームページのつくる会のページを情報源としている。

●可決された修正案(修正箇所以外は市長提案の条例案通り)は、保守系会派の2議員によって提出された。継続審議の動議も出されたが賛成少数で否決され、修正案が賛否同数の末、委員長の賛成によって可決された。
 修正案の要点は、以下の通りである。
(1)第11条(子ども)第1項「子どもは、年齢に応じて政策形成等の過程に参加することができる。」を削除。
(2)第29条(厚木基地)第1項の「厚木基地の返還が実現するよう努めるものとする。」の「返還」を「移転」に変更。
(3)第30条(住民投票)第2項「市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重しなければならない。」に「市民」を追加。
(4)第33条(改正)「この条例の改正に当たっては、自治の基本理念及び自治の基本原則にのっとり、必要な措置を講じなければならない。」を削除。

●新聞記事によると、最も議論となったのは、(2)の点であったようである。修正案を提案した市議は、「返還」では国の法律との整合性に問題があるとしたうえで、「返還でも移転でも基地がなくなることは同じ」と修正理由を説明した。一方、修正案に反対する市議は、岩国基地(山口県)への移転の報道もあるなかで、「移転」という表現は岩国市に誤解を招きかねないなどと反論した。結局「移転」へと修正された点について、市長は「移転」に変わったとしても、市是である「返還」とは矛盾しないと述べている。
 修正案に反対する市議からは、(1)については、「子どもの意見を聞き、子どもの視点で考えていくことが必要」(読売)、(3)については、「市民に『住民投票の結果を尊重しろ』というのは人格の侵害にならないか」(読売)といった反論があったようである。

●このニュースの速報性を重視したため、情報提供者である、つくる会の太田会長に直接コメントをいただいたわけではないが、総務委員会を傍聴後の太田さんのコメントは、「たった4時間の議論で修正するのは拙速」(神奈川)、「修正された部分は重要なので変更は納得いかない」(読売)、「(移転の文言に変更されれば)地域エゴを標榜することになる。断じて許せない」(朝日)といった形で紹介されている。
 今後の予定としては、定例会最終日となる10月4日に、本会議で審議されることになっている。筆者としても、太田さんには、その前後にご意見を伺うことにしたい。

●今年3月に成立した多摩市自治基本条例の場合も、公募市民による会議である「多摩市市民自治基本条例をつくる会」が作成した「市民提言案」をもとにした、市長による「条例案」を、総務常任委員会による「修正案」によって修正可決している。但し、多摩市の場合は、「市民提言案」の重要な部分が市長の「条例案」になる時点で大幅に変更されていたものを、総務常任委員会が「市民提言案」に近い形の「修正案」を可決したという点で、大和市の場合とは逆のケースである。
 しかも、太田さんのコメントにあるように、大和市議会の総務常任委員会では、わずか4時間の審議で、自治体の憲法とされる「自治基本条例」の審議を終えたのに対し、多摩市議会の総務常任委員会では、12月議会で一度継続審議にした後、3月議会までの間に、委員会として、(多摩市の)つくる会の代表・副代表と意見交換の場を持ったり、学識経験者を招いて話を聞いたりして、委員会全体として「修正案」を作成している。互いの主張を披瀝したらすぐに多数決で結論を出してしまうことが原理原則となりがちな議会で、このような一種の「合意形成」が図られたのは珍しい。議会が、単なる議決機関ではなく、条例を「つくる」過程を担った事例である。
 もちろん、大和市における今回の修正可決を、単純に多摩市と比較することがよいわけではないが、自治基本条例という「自治体の憲法」を、市民、行政(市長部局)とそれぞれが時間をかけて揉んで「手あか」を付けてきたのであるから、市民の代表による合議体としての市議会でも、慎重な議論と合意形成の努力が必要だったのではないかと思われる。
 いずれにせよ、条例づくりにおける、公募市民による策定組織、市長部局、市議会という3つの主体間の関係を考えるうえで、また新たな一石を投じた出来事であったと言える。

 大和市ホームページ 自治基本条例策定に関するWEBサイト

「大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討開始」「大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討終了」大和市自治基本条例修正案が市議会本会議で可決」「自治基本条例の『自治体の憲法』としての論点」「大和市自治基本条例施行シンポジウム開催、つくる会も終了」ご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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