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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
大和市自治基本条例修正案が市議会本会議で可決
2004/10/26


●2004年10月4日(月)、大和市議会本会議において、大和市自治基本条例修正案が可決された。可決された修正案は、総務常任委員会において、保守系会派の2議員が提案し、賛否同数の末、議長の賛成によって可決されていたものである。市長原案からの4つの修正点(子どもの参加、厚木基地問題、住民投票の結果、自治基本条例の改正)については、以前のニュースで扱っているので、そちらをご覧いただきたい。
 なお、大和市自治基本条例は、10月7日(木)にすでに市長より公布されており、2005年4月1日から施行されることになっている。
 大和市自治基本条例修正案の修正箇所
 大和市自治基本条例

●市長原案のもとになった素案は、公募市民26名を中心とした32名の委員からなる「大和市自治基本条例をつくる会」(以下、つくる会)が、1年半にわたる審議や市民各方面との徹底した意見交換(パブリック・インボルブメント)といった、前例にないほどの労力をかけて作成したものである。
 市の法制担当からの「地方自治法上の概念と矛盾し、おかしい」との指摘で、「市の定義」の構成要素の1つであった「市民」(在勤・在学・在活動なども含む)が、在住のみの「住民」に変更された点以外は大きな変更はなく、素案が尊重された市長原案となっていた。

●それが、総務常任委員会で市長原案の主要な点が修正され、その修正案が本会議でも可決されたことで、素案を作成したつくる会は反発を強めている。
 つくる会会長の太田善夫さんより、神奈川・朝日・東京・産経・読売・日経・毎日の7紙の10月5日(火)の記事をご提供いただいた。そのほとんどが、16歳以上の市民に住民投票の請求権と投票権を認めた点に、最も焦点を当てて報じており、条例案の修正については全く触れていない新聞もある。朝日新聞の「ひと」欄にも登場した太田さんであるが、その記事への読者の反響のなかには、住民投票条例だと誤解しているものもあったという。

●つくる会は、総務常任委員会での修正可決の後、9月26日(日)に第30回会議を開催して、修正案への見解と今後の対応を協議している。その様子は、大和市ホームページのつくる会のページに掲載されている、第30回会議の記録から知ることができる。
 修正案への見解については、総務常任委員会でのやりとりを振り返りながら、議員の意見を分析しているが、修正対象となった条文に込められている意味を、議員が十分に理解できていないのではないかというのが、つくる会の受け止め方のようである。
 また、今後の対応については、市長に再議に付すよう提案する(議会での再議に付した場合、再度の議決には2/3以上の賛成が必要になる)、本会議前に記者会見を行ってつくる会の意見を表明するなどが検討され、なかには直接請求する可能性にまで言及する委員もいた。しかし、議会審議を見守りたいという市長の考えがあることや、つくる会は市長に委嘱されて発足したものでもあり、つくる会と議会の対立になる構図は避けたいといったことから、当面はこの第30回会議の記録を市長に報告するにとどめ、本会議後に予想される記者発表に向けて、つくる会としての見解を準備しておくことに決まった。
 大和市自治基本条例をつくる会 第30回会議 記録 

●その結果として、10月4日(月)の本会議における修正案の可決後に、太田会長名で、つくる会としての見解が記者発表されている。その内容は、大和市ホームページのつくる会のページに掲載されているので、ご参照いただきたい。また、太田さんより、同じ原稿を別途いただいたので、PDF形式でも下記に掲載しておく。
 記者発表された、つくる会の見解を見ると、それぞれの修正箇所への見解だけでなく、議会審議において市長原案の検討が十分になされなかったこと、市長原案は市内各方面との徹底した意見交換(パブリック・インボルブメント)を行って作成した素案をもとにしており、それを議会が一方的に修正したのは市民自治に反すること、また、議会の各会派とも2回ずつ意見交換をしており、素案や市長原案には議員の意見も十分に反映されていること、なども述べられている。
 「大和市自治基本条例」修正案の本会議可決について(大和市ホームページ)
 「大和市自治基本条例」修正案の本会議可決について(PDF形式)
 別紙:修正条項の問題点(PDF形式)

●筆者は、つくる会と議会のどちらに与するものでもないが、大和市自治基本条例の策定経過は、今後の地方議会のあり方に関して、いくつかの示唆を含んでいると考える。
 まず、議会は、選挙によって選出された議員によって構成されており、その意味で市民の代表機関である。但し、議員なり、その議員が所属する政党なりには、特定の市民が固定的な支持者としており、各議員は、全市民を代表してというより、支持者を代表して行動する。そのため、各議員の政策づくりは、基本的には、支持者の声をもとにして行われていると言える。そんな議員は、当然にも、自分こそ市民の意思を代表していると思っているため、今回のように、つくる会や市長の案より自分の意見の方が市民の意思なのであると考えて、条例案の修正も行うわけである。
 一方で、上記の記者発表にも表れているように、つくる会は、広範な市民参加による策定プロセスを経て、素案を作ったという主張がある。筆者なりの表現に直すと、自分たちは選挙で選ばれた代表ではないが、自治基本条例を策定するということに関しては、最も民意を反映できるようなプロセスを実践したのだから、つくる会の素案(それを受けた市長原案)にこそ市民の意思は表れている、と考えているのである。
 ここで衝突しているのは、「支持者を持ち選挙された議員」と「徹底した市民参加のプロセス」の間における、それぞれの「市民意思の反映度」の主張である。このように、様々な主体が、自分こそ「市民意思を反映」していると政策を掲げて競い合う状況そのものは、結構なことであると言える。しかし、異なった根拠に立つ両者の間には、今後、市民参加が進化するほどに、より激しい衝突が起こることも予想される。

●では、どのような解決策があるのか。
 今回、つくる会が反発した最大の理由は、議会で市長原案が十分に検討されず、議員が条文の意味を十分に理解できていないのではないか、という疑念にあったと考えられる。つくる会は、委員自身が表明した意見の検討はもちろん、市内各方面での意見交換によって集まった1つひとつの意見についても検討して、きちんとした理由を持って条文の一字一句までを決めている。条文をさらっと読んだだけでは見えてこない意味や理由があり、それを十分に議員に説明できたうえでの議員の判断であれば、つくる会の委員の納得感もまた違っていたのではないかと思われる。
 上記の第30回会議で今後の対応を協議するなかに、もはや素案ではなく条例案(市長原案)なのであるから、議員に誤解があれば、事務局(行政)から説明すべきであるという委員の発言がある。確かに、議会に提出する条例案の段階に至れば、現在の仕組みのもとでは、あとは市長と議会の関係になるため、市長部局(行政)が議会に対して十分に説明するしかないであろう。
 しかし、つくる会のような徹底した市民参加の手法を採用した場合には、つくる会と議会(ないし議員)とが、条文の意味や理由まで含めた意見交換をできる場を設けることが必要かもしれない。「市民意思を反映」した政策を掲げて様々な主体が切磋琢磨するには、単にベルトコンベアを流れてきた製品を検品して次に流すようなプロセスではなく、設計者や製造者や検品者が顔を突き合わせて、きちんと製品をバラしてみて説明し合いながら、綿密に理解を深めることが必要であろう。そうすることで、政策をめぐる、主体間の単なる「競合」や「対立」ではなく、「協調」や「合意形成」が図れるであろう。
 公募市民による策定組織、市長部局、市議会などの主体間の「コミュニケーション」を促進するような仕組みが、市民参加や市民自治の一層の進化・深化には必要となってこよう。

 大和市ホームページ 自治基本条例策定に関するWEBサイト

「大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討開始」「大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討終了」大和市自治基本条例案が市議会総務委で修正可決」「自治基本条例の『自治体の憲法』としての論点」「大和市自治基本条例施行シンポジウム開催、つくる会も終了」ご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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