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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
ワークショップを庁内に広げていく方法−相模原市の場合
2005/1/21


●市民参加に関心のある方であれば、自治体行政における市民参加の主要な手法として、「ワークショップ」が行われるようになっていることに異論はないであろう。
 ワークショップの人気講座を持つ「世田谷まちづくりセンター」、数多くのワークショップをコンサルタントとして手がけてきた「計画技術研究所」や「大久手計画工房」などの貢献もあり、全国の自治体にワークショップが広がっていった。また、東京ランポも、都市計画マスタープランの法定化に伴い、ワークショップによる都市マスづくりを広めることに一役買ってきた。

●そんなワークショップも、従来は、市民参加に関心のある職員が、部署単位で導入するのが普通であったが、最近の市民参加の制度化の流れのなかで、条例でワークショップを規定し、全庁的に適用する動きも出てきている。
 市民参加条例で「ワークショップ」という言葉を使っているものには、西東京市、鹿児島市、下関市、京都市などがある。その定義は、「市民と市及び市民同士の自由な議論により市民意見の方向性を見出すことを目的とする集まり」(西東京市)などとなっている。
 自治基本条例の場合でも、多摩市が「一定の課題について集団で検討作業を行うこと(ワークショップ等)への参画」という条文を持っている。

●筆者は、市民参加には、「理念」「制度」「手法」の3つの次元があると考えるが、ワークショップの「手法」の十分な蓄積が先にあって、それから条例などで「制度」として取り入れたというものは、どの程度あるのであろうか。むしろ、どの自治体でも、「制度」化したのを機に、それまで一部で行われていたワークショップを庁内で広め、「手法」を徐々に確立していきたいという面は、多かれ少なかれあると思われる。
 東京ランポが、ここ数年、市民参加・協働のお手伝いをしている相模原市の場合、条例ではないが、平成15(2003)年2月に「さがみはらパートナーシップ推進指針」を策定し、庁内の市民参加・協働の事業に体系的に取り組んでいる。

●ワークショップも、「さがみはらパートナーシップ推進指針」において、「多くの市民に関わる事業や、企画立案から実施・管理まで事業推進全体を市民が主体となって見通す事業については、ワークショップ手法の導入など、より開かれた場や機会の拡充に努めます」とあり、パートナーシップの主要な手法と位置づけられている。
 実際、相模原市では、この「指針」を根拠に、パートナーシップ施策の推進役である「パートナーシップ推進課」(「指針」に基づき、平成15年4月に設置)が司令塔となって、庁内の様々な事業でワークショップを導入することを促している。以下では、庁内にワークショップを徐々に広げている、相模原市のユニークな取り組みを紹介したい。

●東京ランポが、相模原市におけるワークショップに初めて関わったのは、平成13(2001)年6〜12月に実施された、街区公園の再整備(リニューアル)計画づくりのワークショップ、「村富公園ワークショップ」であった。詳細は、事業報告で紹介しているので、ご覧いただきたい。このワークショップでは、市民、行政のいずれでもない第三者として、ワークショップの企画・運営を全面的に委託され、実施した。
 相模原市では、それ以前にも、街区公園の整備計画づくりのワークショップ、「陽光台ひまわり公園ワークショップ」を実施したことがあった。そのときは、公園課職員が「世田谷まちづくりセンター」からレクチャー(研修というほどではなかったという)を受け、自前で企画・運営を行っている。「村富公園」を第三者に委託したのは、職員が自前で行う場合と比較し、参考にしたいという意図があった。
 また、「村富公園ワークショップ」には、上記の「指針」を策定するための組織、「パートナーシップ型まちづくり推進指針策定懇談会」(平成13年6月〜14年12月:委員14名、うち公募7名)で検討するための、モデル事業としての位置づけもあった。そのため、公園の再整備計画を公園課に提出するのと合わせ、ワークショップのマニュアルを含めた報告書を企画政策課(当時)にも提出している。

●その後、平成14(2002)・15年度には、地域福祉課と社会福祉協議会による「地域福祉計画ワークショップ」が行われた。筆者は、14年度(試験的な位置づけ)について、職員を対象とした、KJ法(付箋に意見を書き出し、整理する手法)などの簡単な手法の研修を行ったほか、企画相談などを行うアドバイザーを務めた。
 平成15(2003)年度に入ると、朝夕の交通渋滞が問題化していた、相模原市と愛川町をつなぐ、県道54号線(通称:愛川線)の交通需要管理(TDM)を推進するための「愛川線TDMワークショップ」(都市交通計画課)が、10月より始まった。また、平成16(2004)年度には、市が新たに公園用地として買い上げた土地を、公園として整備するための「(仮称)旭町公園プレワークショップ」(コンセプトづくりまで行う)(公園課)が行われ、(仮称)旭町公園と同じ敷地にこどもセンターを整備する「大野南地区こどもセンターこどもワークショップ」(子育て支援課)も現在開催中である。
 また、平成17(2005)年度からは、上記の(仮称)旭町公園のより具体的なデザインまで行う「(仮称)旭町公園ワークショップ」(公園課)や、やはり市が南文化センター跡地に整備する「(仮称)豊町公園ワークショップ」(公園課)も始まる予定である。

●筆者は、上記のほとんどに、企画相談などを受けるアドバイザーとして関わっている。予算的な事情もあり、ワークショップの企画・運営を全面的に委託されることは、「村富公園ワークショップ」の後はないが、担当職員を裏方で応援する形で、複数のワークショップに幅広く関わってきた。
 司令塔である「パートナーシップ推進課」としては、様々な事業がワークショップで行われるよう各部署に働きかけ、その実現のために、第三者をアドバイザーに付けて、担当職員をサポートするという方法をとっているわけである。

●しかし、単にアドバイザーをつけるだけでなく、それぞれのワークショップに関わる職員や市民の事情に応じて、ワークショップが実現するように様々な工夫もなされている。
 「愛川線TDMワークショップ」の場合は、「陽光台ひまわり公園ワークショップ」をリーダーとして手がけ、「村富公園ワークショップ」でもご一緒した、白井裕一さん(都市交通計画課)が、リーダーとなって実施している。このワークショップのユニークなところは、都市計画課や土木課といった隣接の部署にも呼びかけて、課横断的な自主参加のプロジェクトチームをつくって、企画・運営をしている点である。
 経験者である白井さんが他の職員に方法を伝え、ワークショップのなかでは、各職員がグループごとのファシリテーターとなっている。当初は、ほとんどの職員がファシリテーションの経験がなかったのだが、回を重ねるごとに、進行や記録のコツをつかみ、みるみる実力を上げて、3月に最終回を残すのみとなった現在では、それぞれがひとかどのファシリテーターとなっている。ファシリテーションだけでなく、ワークショップの企画についても、それぞれが活発に提案を行うようになったという。
 経験のある職員が中心となって、実際にワークショップを行っていくことで、多くの職員にノウハウが伝播していく。「愛川線TDMワークショップ」からは、そんなことがわかる。

●一方、「(仮称)旭町公園プレワークショップ」では、地元の旭町自治会長の中村洋子さんが、住民の立場でワークショップを引っ張った。公園課には、かつて「村富公園ワークショップ」にともに取り組んだ職員がいなくなってしまっていた(課内でノウハウが継承されないことは、それはそれで問題である)。しかし、大野南公民館長も務め、様々な分野で活躍する中村さんは、ワークショップの技法を使った経験もあり、このプレワークショップも中心となって実施した。
 自治会長ということで、子どもを含む参加者との信頼関係もあり、遊びの要素を取り入れながらの、子どもも楽しめるワークショップができた。一方で、ワークショップが、誰でも自由に参加できる場であることや、あくまで市の事業であったことを考えると、自治会以外への呼びかけももう少し必要であったように思われる。そういった広報については、公園課がもっと担う必要があったところであろう。

●ワークショップを庁内に広げる方法ということで、経験のある職員が実際のワークショップを通して他の職員に広めた例、住民の持つノウハウを活用した例を見てきた。ワークショップの技法も、他の仕事のノウハウと同様、経験するなかで身に着けていくものに違いない。100%習得してから始められるはずはなく、ワークショップに関わる職員や住民の状況に合わせて、可能な形を模索しながら行うことが、相模原市でワークショップが徐々に広がっているポイントであろう。
 なお、現在、上記の「大野南地区こどもセンターこどもワークショップ」「(仮称)豊町公園ワークショップ」「(仮称)旭町公園ワークショップ」の実施のために、公園計画づくりを題材としたワークショップ講座(3時間×4回)で講師をしている。この講座のユニークなところは、担当職員や関心のある職員だけでなく、豊町や旭町でこれからワークショップに関わることになる住民、市内にある女子美術大学の学生も、一緒になって受講している点である。まだ、実際のワークショップが、住民と行政のどのような役割分担で実施されるか見えない段階であるが、ともかくワークショップについて知り、基本的なノウハウを学ぶことで、実施できる体制を築こうとしている。
 職員がしっかりノウハウを身に着けるべきであるとか、必要なコストと割り切って第三者に委託すべきである、といった考え方もあるかもしれない。しかし、本来が「パートナーシップ」の旗印のもとに行われている、相模原市のワークショップであり、住民と職員が一緒に学んで一緒につくりあげていくというのは、相模原市がたどるべくしてたどっている展開と言えるのではないか。そんな住民、職員の皆さんを応援できるよう、筆者としても、ますますがんばるのみである。

 相模原市ホームページ 皆で担う市民社会の実現を目指して

「旭児童公園ワークショップでネイチャーゲーム実施」パートナーシップ市民フォーラムさがみはら始動もご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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